海外のホームスクーリングとは?アメリカ・イギリスと日本の違いを保護者向けにやさしく解説

ひとことで言うと:ホームスクーリングは、家庭を学びの中心にする学び方です。アメリカでは州ごとの決まりのもとで、イギリス(イングランド)では法律に基づいて家庭での教育が選ばれています。日本では、学校に籍を置いたまま家での学びを支えるしくみが、少しずつ整ってきています。
「海外では、学校に行かずに家で勉強する子もいるらしい」。お子さまが学校に行きづらくなったとき、そんな話を耳にして、気になった方もいるのではないでしょうか。
アメリカやイギリスでは、ホームスクーリングは一定の数の子どもが選んでいる学び方です。一方で、日本とは法律の決まり方が違うため、そのまま同じようにできるわけではありません。
この記事では、アメリカ・イギリスのホームスクーリングの様子と、日本の制度との違いを、各国の公式資料をもとに順番にご紹介します。どちらが良い・悪いではなく、「違い」として知っておくことで、お子さまに合う学び方を考えるヒントにしていただければと思います。
ホームスクーリングとは「家庭を学びの中心にする」学び方
ホームスクーリングは、学校に毎日通うのではなく、家庭を拠点にして学ぶ方法です。保護者が教えるだけでなく、オンライン教材や地域の学びの場を組み合わせる方法もあります。
イギリスでは「エレクティブ・ホーム・エデュケーション(自分たちで選ぶ家庭での教育)」と呼ばれます。名前のとおり、保護者が自分の意思で選ぶ教育の形として扱われているのが特徴です。
似た言葉に、日本でよく聞く「不登校」がありますが、意味は異なります。不登校は「学校に行けていない・行っていない状態」を指す言葉です。ホームスクーリングは「家で学ぶことを、学び方として選ぶ」ことを指します。
アメリカでは約3.4%の子が家庭で学んでいる(2022〜23年度)
アメリカでは、ホームスクーリングは学校に通う代わりの学び方の一つとして、一定の数の家庭が選んでいます。
アメリカの教育統計を担う国立教育統計センター(NCES)の調査では、2022〜23年度に5〜17歳の子どもの約3.4%が、保護者の回答でホームスクーリングでした。オンラインの学校に家から通う子も合わせると、家で授業を受けていた子は5.2%で、2018〜19年度の3.7%から増えています。
さかのぼると、1999年は1.7%でした。その後、増減をくり返しながら、おおむね2倍の水準になっています(調査の方法が年によって異なるため、厳密な比較はできません)。
(出典:NCES「Parent and Family Involvement in Education: 2023」2024年9月公表、NCES Fast Facts「Homeschooling」)
もうひとつの特徴は、決まりを作るのが国ではなく州だという点です。アメリカ教育省は、ホームスクーリングを国として規制しておらず、カリキュラムの要件も含めて州と地方の責任だとしています。そのため、具体的な決まりは、住んでいる州によって異なります。
(出典:アメリカ教育省「Frequently Asked Questions: Non Public Education」)
イギリスでは「学校か、それ以外の方法か」を保護者が選べる
イギリス(イングランド)では、法律の条文に、学校以外の方法で教育を受けさせる道がはっきり書かれています。
1996年の教育法では、保護者の義務は「子どもの年齢や能力に合った、フルタイムの教育を受けさせること」とされ、その方法は「学校への通学、またはその他の方法で」と定められています。つまり、義務の中身は「学校に通わせること」ではなく「教育を受けさせること」なのです。
イギリス政府の案内ページでは、次のように説明されています。
- 5歳からフルタイムの教育を受けさせる必要があるが、国のカリキュラム(ナショナル・カリキュラム)に従う必要はない
- 学校を完全にやめて家庭で教育する場合、学校はそれを受け入れなければならない
- 自治体は、家庭での教育が適切かどうかを確かめるために問い合わせをすることができ、必要と判断すれば学校への出席を命じることもある
イングランドで家庭教育を選んでいる子は、2025年秋の調査日時点で約12万6千人でした。保護者が挙げた主な理由(分かっているもの)は、「心の健康(メンタルヘルス)」が16%、「考え方や教育方針」が12%です。ただし、この統計は2024年に集計が義務化されたばかりで、増えた分の一部はデータの集め方が良くなったためとされています。
(出典:イギリス1996年教育法 第7条、GOV.UK「Educating your child at home」、イギリス教育省「Elective home education: Autumn term 2025/26」2026年1月公表)

日本では「学校に就学させる義務」が土台にある
日本の制度との大きな違いは、保護者の義務が「学校に就学させること」として法律に書かれている点です。
学校教育法では、保護者は子どもを小学校や中学校などに「就学させる義務を負う」と定められています。イギリスの法律のように「学校またはその他の方法で」という書き方にはなっていません。そのため、アメリカやイギリスのホームスクーリングと同じ形を、日本でそのまま選べるとは言えないのが現状です。
ただし、日本でも「学校以外の学び」を大切にする方向に、制度は動いてきました。2016年に成立した教育機会確保法では、不登校の子どもが学校以外の場で行う「多様で適切な学習活動」の重要性が明記され、国や自治体が情報提供や助言などの支援を行うことになりました。
さらに文部科学省の通知があります。不登校のお子さまが家でパソコンやインターネットなどを使って学んだ場合、一定の要件を満たせば、校長先生の判断で出席扱い(実際に登校していなくても、学校の記録上は出席した日として数えること)にできます。学んだ成果を評価に反映することもできます。要件には、保護者と学校がしっかり連携していること、訪問などによる対面での支援があること、計画的な学習プログラムであることなどがあります。また、学校外の施設などで相談・指導を受けにくい場合の取り扱いとされています。
ここで大切なのは、この取り扱いが「我が国の義務教育制度を前提としつつ」と書かれていることです。つまり日本では、学校に籍を置いたまま、家での学びを学校が受け止めるしくみになっています。具体的にどう扱われるかは学校や地域によって異なるため、在籍している学校や教育委員会に相談するところから始まります。

(出典:学校教育法 第17条、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律 第13条、文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」)
違いから見えるのは「子どもに合う学び方を選ぶ」という考え方
3か国を並べてみると、制度の形はそれぞれ違います。それでも共通して言えそうなのは、学ぶ場所は一つではなく、子どもに合う学び方を探してよいという考え方です。
イギリス(イングランド)では、家庭での教育を保護者が選べる一方で、自治体がその教育が適切かどうかを確かめられるしくみがあります。アメリカでも、決まりは州ごとに定められています。家で学ぶことは、保護者が教育の内容に責任を持つことでもあります。
日本では、学校という土台がある分、学校・家庭・学校以外の場が連携しながら子どもを支える形が取られています。家で過ごす時間が長いお子さまでも、教育支援センター(自治体が設けている、学校以外の学びと相談の場)やフリースクール、オンライン教材などを組み合わせて、学びを続ける方法があります。
文部科学省の調査では、2024年度に小・中学校で不登校だった子は約35万4千人でした。同じ状況のご家庭は少なくありません。
(出典:文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
迷ったときのチェックポイント|海外の話を「わが家」に置きかえる
海外の学び方を知ると、「うちもそうしたほうがいいのかな」と迷うことがあるかもしれません。そんなときは、制度の違いよりも先に、お子さまにとって何が合っているかを一緒に確かめてみてください。

- お子さまが安心して過ごせる場所はどこか:家なのか、少人数の場なのか。まずは、ほっとできる時間があるかを見てみましょう
- 夢中になれることは何か:ゲーム、ものづくり、絵、生き物など。「好き」は、学びを続ける力になります
- 一緒に支えてくれる大人はいるか:家庭だけで抱え込まず、担任の先生やスクールカウンセラー、教育支援センター、フリースクールなどに相談してみましょう
「家で学ぶ」か「学校に行く」かの二択ではなく、家庭・学校・学校以外の場を組み合わせると考えると、選択肢が広がります。
出席扱いについて詳しく知りたい方は、フリースクールの基本と合わせてフリースクールとは?学校との違い・費用・出席扱いを保護者向けにやさしく解説もご覧ください。
まとめ
- ホームスクーリングは、家庭を学びの中心にする学び方。アメリカでは2022〜23年度に約3.4%の子が家庭で学んでいた
- アメリカは州ごとに決まりがあり、イギリス(イングランド)は法律に「学校またはその他の方法で」と書かれている
- 日本は保護者が「学校に就学させる義務」を負う。そのうえで、家での学びも条件を満たせば校長の判断で出席扱いにできるしくみがある
- 大切なのは制度の比較より、お子さまが安心して学べる場を、学校や身近な大人と一緒に探すこと
ロボテック学園は、宇都宮市でプログラミング教室を運営してきた私たちがつくったフリースクールです。家庭と学校のあいだにある「もうひとつの居場所」として、お子さまのペースで学べる場を用意しています。
コースは2つあります。平日の日中(10:00〜15:00)に通う全日制フリースクールと、学校帰り(16:00〜19:00。教室ごとに水曜または木曜)に通える放課後フリースクール®です。どちらも、やりたいことは子ども自身が決められます。出席扱いについては、学校長との連携を通じたご相談をお受けしています。
ロボテック学園では、全日制フリースクールと放課後フリースクール®の無料体験を受け付けています。お子さまが「ここなら自分らしくいられる」と感じられるかどうかを、まずは見に来てください。
考える力を育てる教室|栃木・群馬