小学生でもできるプログラミング「Scratch(スクラッチ)」とは一体どんなソフトなの?

マサチューセッツ工科大学が開発したスクラッチ(Scratch)

みなさんは「Scratch(スクラッチ)」という名前を聞いたことがありますか?スクラッチというと、コインで削って当たりを確認するクジというイメージがありますよね。でも、今回取り上げてみたい「スクラッチ(Scratch)」は、コンピュータに関するソフトのひとつなのです。

スクラッチはマサチューセッツ工科大学が開発したビジュアルプログラミングのソフトです。マサチューセッツ工科大学といえば、世界大学ランキングの上位に必ずランクインする超名門大学のひとつ。アメリカにある理系の大学の中でもトップクラスと言われています。通称のMITは、日本でも通じるほど知名度が高い大学ですね。
ノーベル賞受賞者となった卒業生もたくさんいて、なんと80名以上もの卒業生が名誉を手にしています。もちろん今後もどんどん増えてゆくことでしょう。また研究機関としても世界的に知られており、アメリカの最先端技術産業を支える拠点としての役割も担っています。
これほどまでに有名なら日本人も多く通っているかというと、以外にそうでもなかったりします。実は、入学することが比較的簡単と言われるアメリカの大学の中にあって、大学入学試験の合格率はなんとわずかに8%と言われています。たくさんの有名大学が存在するアメリカの中でも、非常に入学が難しい大学なのです。さらに合格者の中でも留学生はたった9%と言われており、日本人は毎年ほんの数人しかいない、というのが現状です。「日本で言うなら○○大学」と、簡単に比べることができないほど狭き門の大学といえます。
こんな超難関大学として名を馳せるマサチューセッツ工科大学のMITメディアラボで開発されたのが、Scratch (スクラッチ)とよばれる、プラグラミングの学習環境となるわけです。世界的に有名なな理系大学が開発したコンピュータソフトなんて、ずいぶん難しそうな感じがしますよね。ではスクラッチって、いったいどんなソフトなのでしょうか。

 

スクラッチ(Scratch)を使えば小学生からでもプログラミングができる

スクラッチは、特別な資格や能力が必要なものではありません。13歳以上の方であれば自由に使い始めることが出来るプラグラミングソフトとなります。(13歳未満のお子様の場合は保護者の同意が必要となります)
気軽に初められるという点が良いですよね。
NHKのEテレにて「Why!?プログラミング」という子ども向け番組の中でも、スクラッチが紹介されており、子どもたちの間でも知っている子は増えてきているプラグラミングソフトとなります。
この番組では、お笑い芸人&IT関連企業の役員として日本で活躍する厚切りジェイソンさんが進行役になって、スクラッチの世界についてわかりやすく解説してくれます。
この番組を入り口にしなくても、スクラッチは誰にでも門戸を開放しています。スクラッチの公式サイトを訪れると、日本語はもちろん世界中の言語に対応しているため、子どもでもすぐにスクラッチがどんなものかを理解することができます。しかも、スクラッチは無料で公開されているため、使用料も必要ありません。
スクラッチの最新版は、インストールも必要ありません。公式サイトの「スクラッチに参加しよう」というページから利用者登録を行うだけで、すぐに参加し利用することができます。

もともとスクラッチは子どもから若者まで、多くのプログラミング初心者が、楽しく遊びながらプログラミングをする力やプログラミング的思考力を培うために開発されました。
スクラッチは、インタラクティブ…つまりパソコンとの双方向のコミュニケーションを通じて、物語やアニメーション・ゲームなどを作ることができるプログラミングソフトとなります。小学校低学年、8歳以上の子どもたちに向けて開発されていますが、あらゆる年齢の人々が利用し、楽しむことができます。それだけでなく、学校におけるプログラミングの授業教材として利用されたり、博物館や図書館・コミュニティーなどでも活用されています。

スクラッチの公式サイトでは、日本語のサポートに従って簡単に利用者登録ができます。初心者向けに、アニメーションやゲーム・アート・ミュージック&ダンスなど、さまざまなプロジェクトが用意されており、見て簡単にわかるチュートリアル動画も豊富なので、チャレンジしやすいソフトと言えます。
わからなくなってしまっても大丈夫。英語の解説でつまずいた時は、NHKの番組からもう一度トライしてみても良いでしょう。
もちろん、現在はスクラッチを利用してプログラミングを教えてくれるプログラミングの塾もあります。栃木県のロボット教室/プログラミング教室「robotec(ロボテック)」でも、プログラミングを子どもたちに教えています。

 

スクラッチ(Scratch)でまずはプログラミングの基礎を学ぶ

スクラッチでは、プログラミングの基礎を学ぶことができます。プログラミングは通常、専門のプログラミング言語というものを利用して、コーディングと呼ばれる作業を行います。一般にはシステム開発会社やWeb制作会社、またはプラグラムのお仕事を専門に請負う個人事業主の方などが行う作業で、使用される言語も意味のよくわからない記号や文字の羅列です。
初心者向けの人気プログラミングソフトに「イチゴジャム」というものがあります。我が家の子どもたちも一時ハマってしまったソフトなのですが、利用したことがある方もいるのではないでしょうか。「LEDを点灯させる」「点灯させた光を点滅させる」というような単純明快な動作でも、実際にコーディングしてみるととっても難しくて大変なことがよくわかるソフトで、だからこそいろいろな処理にトライしたくなるというものです。

スクラッチでは、この作業を楽しみながらわかりやすく行うことができます。しかもできあがったソフトではアニメーションを動かしたり、ゲームを楽しんだりできるのです。これなら、飽きっぽい子どもや幼い子でも、プログラミングの基礎であるコーディングを楽に学ぶことができますね。
さらにスクラッチでは、本名をふせて自分の作ったゲームやアート・アニメーションなどを公開することができます。公開はもちろん世界規模です。インスタグラムに写真をアップするような気軽さで、プログラミングを楽しみ、学んでみんなに見てもらうことができちゃうソフトなのです。

ここまでの話の流れで、スクラッチではコーディングが簡単にできるソフトということをわかっていただけたと思います。しかし、プログラミングで大切なことはコーディングができるようになる。というだけではなかったりします。
コーディングで自分の思い描く世界を動かすことで、プログラミング的思考力を養うことも重要です。
プログラミング的思考力とは、結果を想像して手順を考え、順番通りに処理をこなしていく能力のことになります。
コーディングというと一気にITの世界に入ってしまい、難しく感じてしまいます。でもプログラミング的思考力は、現代社会でひとりの社会人として生きるうえで、必ず必要となるスキルのひとつなのです。

これからの社会、特にAIが生活の中に取り入れられてくる数年後の社会では、コンピュータやAIの隆盛の陰で、今あるさまざまな職業が消えていくと言われています。しかし、AIが導入されることで、今では予測もできない職業が生まれるとも考えられています。
こうした変化に対応するためには、すべての人々がプログラミング的思考力を身につけ、パソコンやコンピュータを利用してクリエイティブな活動を行ったり、いろいろな人々とコミュニケーションをはかって協力していく必要があります。
スクラッチ(Scratch)はこうした、今後考えられる、社会や働き方の変化の中で、求められるであろうプログラミング的思考力や、仮説力を実際のプログラミング学習の中で身につけていく事ができるソフトウェアであり、プログラミングを学習しやすい環境であるといえます。

2020年からの小学校教育の中にもプログラミングの授業が取り入れられていくということですが、実際の授業ではどのようなことが行われるのか?集団教育の限られた時間の中で、ちょっと古いPCが置いてある状況の小学校が多い中で、本当にプログラミング的思考力を養うことが出来るのか?
まだ少し時間がかかりそうな感じはあります。「ITリテラシー」という言葉が生まれたように「AIリテラシー」という言葉が生まれるのではないかと僕は予測しています。つまり、AIを使いこなせる人と、そうでない人に大きな格差が生まれるということです。それは、金銭的なことかもしれませんし、効率化という時間的なことかもしれません。いずれにせよ、望む望まないは別としてAI活用の流れはこれからもっと進んでいくことでしょう。どうせなら活用できたほうが良い。僕はそう思いますし、良い方向に使いこなせる子ども達に楽しい未来を創ってもらいたいと願います。

 

スクラッチ(Scratch)を使った小学生向けプログラミング授業の内容

2020年には、日本の学習指導要領が改訂されます。大きな変化となるのですが、その2本の軸が、英語教育とプログラミング教育です。
プログラミングは現在、小学校では教えられていません。一部の専門的な高校などで教えている程度です。しかし2020年からは、すべての小学校でプログラミングが授業に取り入れられることになります。
プログラミングという授業が設けられて成績がつけられるわけではなく、総合的な学習や算数・理科・音楽・図画工作といったさまざまな授業の中でプログラミング的思考力が活用されていきます。こうしたさまざまな教科の中で、プログラミングの教材として多く利用されると考えられるのがスクラッチです。音楽やアートはもちろん、コンピュータがどのように私たちの生活に関わっているのかも体感することができます。

私たちの生活はすでにコンピュータから切り離して考えることができない域に達しています。スマートフォンなどのモバイルも日進月歩の進化を見せ、私たち自身がプログラミング的思考を持たなければその変化についていくことができません。
これまではIT関連企業などごく限られた世界の人だけが理解していればよかった、プログラミングの世界。しかし、プログラミング的思考力はクリエイティブにものを作り出す力や、自分のプランを考え出し周囲の人々に理解してもらうプレゼン能力、問題が起きたときに周囲の人々と協力しながら解決してゆくための課題解決力やチームワークなど、実にさまざまな力を包括しています。

プログラミング的思考力を身につければ、どんな業種やシチュエーションでも必ず役立つと言えます。たとえば、子どもが親におねだりをしたり、夫婦で家事の分担協力をする、休みの日に家族で旅行をするといった、ちょっとしたことにも役立つスキルなのです。
スクラッチが実際にどう授業に役立てられていくかは、NHKの番組でも紹介されていますが、実際にスクラッチを利用し、モノづくりにトライしてみることが一番です。特に仲間と協力し、少しずつ理解しながらロボットの構造を理解し、実際に作り、動かせたときの喜びはきっと一生ものになりますよ。
栃木県のロボット教室/プログラミング教室のrobotec(ロボテック)でも、プログラミングの基礎を学ぶためにスクラッチを活用しています。実際に多くの学校で使用されると考えられ、すでに触れている子どもたちも多く、優れた教材です。2020年の学習指導要領改訂に向けて不安があるというお子さんや親御さんは、まずスクラッチの扉を叩いてみてはいかがでしょうか。初めてでわからない時はプロが丁寧に指導してくれます。あっという間に慣れて、ゲーム感覚で楽しめるようになれるはずです。

とーたか博士

とーたか博士

1975年佐賀県生まれ。 2003年インターネットの世界へ。当時アニメーションを制作する際に使われたFlashで「ActionScript」というプログラミング言語に触れ、プログラムの面白さを知ることに。 2005年に浜松町のWeb制作会社に勤務。10年以上にわたりウェブディレクターとして大手中小企業様のWebサイトを手がける。 「クリエイティブ力」の大切さと重要性に気づき、2017年に未来のエンジニアを育てる「ロボット教室のrobotec」を開校。